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MKIコラム


2017/02/27
ソリューションセンター ソリューション企画部

電波を使わない、新しい通信技術って?

スマートデバイスの普及

スマートデバイスが普及し、1人で複数台のスマートデバイスを保有することも珍しくなくなってきました。私自身もスマホ2台とタブレット3台を保有し、時と場合によって使い分けています。そのスマートデバイスの普及は、あらゆる通信手段に対して変革をもたらせてきました。特にWi-Fiについては、ここ20年で11b、11g、11a、11n、11acと通信規格が次々登場し、通信速度が高速化され、今後は60GHzという高い周波数帯域を利用した11adという規格も、スマートフォン・ウェアラブルデバイス・PCといった様々な端末に搭載される予定です。
一方で、Wi-Fiのような電波を使った通信には決められた周波数帯が割り当てられているのですが、数多くの通信サービスが登場してきた結果、割り当てられる周波数帯が枯渇しつつある事が問題になっています。そこで近年注目を集め始めているのが、可視光通信と呼ばれる「光」を使った通信技術です。光を使った通信の起源は意外と古く、戦国時代の日本やチンギス・ハーンのモンゴル帝国などで情報通信に使われていた狼煙も、可視光通信の一種と考えられています。それ以外にも、灯台や灯光器によるモールス信号など、可視光通信は古くから利用されてきました。近年ではLED(発光ダイオード)の発展によって光の点減を細かく制御できる(人の目では分からないくらい高速に点減できる)ようになり、大容量のデータを高速に送受信する事が可能になってきました。


LED照明を使って通信できる未来へ

LEDの量産技術が発達しコスト低減が進み、照明機器に採用され広く一般に普及するようになった現在、光を使った可視光通信の中でも将来的に一番私たちにとって身近になると思われるのが、照明光通信です。これは照明(オフィスのLED蛍光灯など)に通信機能を付加することで、その光を使って通信する技術です。照明(Light)を使うので「Li-Fi」(らいふぁい)とも呼ばれています。近距離でデータを高速に送受信できる通信技術です。
もう少し遠い中距離(100mから数100m位)でデータを通信できるのが、バックホール(基幹ネットワークに接続するための回線網)として利用する可視光LED通信技術です。先日、当社のパートナー様である株式会社 三技協 様に、高画質映像伝送のシステムを見学させて頂きました。


手前にあるシルバーの筐体が試作機本体。後ろのTVには、ビデオカメラから送信された4Kの映像が鮮明に映っています
 

まだ試作機だそうですが、当日は4Kビデオカメラが撮影している映像を可視光LED通信で転送(中継)し、20m程離れた場所にあるTVに映す、というデモを見せていただきました。手前にあるシルバーの筐体が試作機本体。後ろのTVには、ビデオカメラから送信された4Kの映像が鮮明に映っています(当日は場所の都合上20mでのデモでしたが、試作機には本来100mを500Mbpsでデータ転送できる能力があるそうです)。


この技術がどれだけスゴイかと言いますと、

  • 数10cmから数mが限界だった送信距離を大幅に延ばし、且つ大量のデータを送信できる
  • 中継器をつないで通信(ホップ)しても通信速度が落ちず安定
  • 電波を使用しないため電波利用に必要な免許や認可申請が要らず、簡単に機器設置ができる
  • 電波が使えない環境での通信が可能に

【イメージ】可視光通信技術をバックホールとして利用する


この通信技術を用いると、映像等の大容量データを数100m先まで送信できるようになります。また、電波と違って干渉を受けにくい為、密閉された空間や混雑が激しい場所においても安定した通信を行う事が可能です。加えて、これまで費用・時間・技術等の面で負担が大きかった、バックホール回線の敷設工事(特に光ファイバーなど)にかかる負担を大幅に削減できるようになります。従来、バックホール回線の敷設工事が実現のネックになっていたような、商店街や観光地などでの「防犯カメラを設置したい」「Wi-Fiを設置したい」といった要望など、幅広い分野においての活用が期待されています。

可視光通信利用イメージ


実用化するにはまだまだ課題も

このように利点がある一方で、可視光通信は発展途上の分野であるため、まだまだ今後の技術革新や運用方法などが求められるでしょう。
自然環境では太陽光などが入った場合、どう遮断するか?
樹木などが成長して通信そのものを遮る可能性がある場合どうするか?
など、通信機器を設置する環境も計算した取組が必要になると思われます。

然しながら、可視光通信が本格的に実用化されれば、電波の周波数帯域の枯渇問題の解決にも期待ができますし、今後の発展が楽しみな技術だと思っています。これまでLEDの開発などにおいて先行し、ノーベル賞を受賞している日本。街中のあらゆる場所で可視光通信が利用されるシーンが見られるのも近いかもしれません。

※協力:株式会社三技協


 

執筆者
伊藤章
伊藤 章
ソリューションセンター ソリューション企画部
現在、IPネットワーク・Wi-Fiソリューションの企画を担当。



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